受入れ後の義務は大きく3つ

特定技能1号の外国人を受け入れた企業には、法律で定められた義務があります。難しく感じるかもしれませんが、やることを整理すると大きく3つの柱に分かれます。

📋

① 支援の実施

支援計画に基づいた10項目の義務的支援を行う

📨

② 届出の提出

入管への定期届出・随時届出を期限内に行う

⚖️

③ 労務管理

日本人と同等の労働条件を守り、適正に雇用管理を行う

これらの義務を怠ると、罰金や受入れ停止の対象になります。逆に言えば、やることが明確に決まっているので、一つずつ対応していけば問題ありません。

🖼 画像:受入れ後の義務の全体像(後で挿入)

① 支援計画と義務的支援10項目

特定技能1号の外国人を受け入れる企業は、1号特定技能外国人支援計画を作成し、その計画に基づいて支援を実施する義務があります。支援計画は在留資格の申請時に入管へ提出が必要です。

支援内容は省令で10項目が定められており、すべて実施しなければなりません。

義務的支援10項目

1
事前ガイダンス
2
出入国時の送迎
3
住居の確保・
生活に必要な契約支援
4
生活オリエンテーション
5
公的手続への同行
6
日本語学習の機会提供
7
相談・苦情への対応
8
日本人との交流促進
9
転職支援
(非自発的離職時)
10
定期面談の実施

主な支援のポイント

支援項目 ポイント
事前ガイダンス 雇用契約締結後・在留資格申請前に実施。対面またはオンラインで3時間以上。外国人が理解できる言語で行う
出入国時の送迎 入国時は空港から住居・職場まで送迎。帰国時は空港の保安検査場まで同行・確認が必要
生活オリエンテーション 8時間程度。防災・医療・法令・届出手続きなどを外国人が理解できる言語で実施
定期面談 3か月に1回以上。本人と監督者(上司)双方から聞き取り。2025年4月よりオンライン面談も解禁
相談・苦情対応 外国人が理解できる言語で随時対応できる体制を整備。労働関連法令の違反が疑われる場合は関係機関へ通報
💡 登録支援機関の活用

これらの支援は自社で実施することも、登録支援機関に全部または一部を委託することも可能です。全部を委託した場合、支援体制に関する基準を満たしたものとみなされます。ただし、支援の最終的な責任は受入れ企業にあります。

② 入管への届出 ― 定期届出と随時届出

特定技能外国人を受け入れている企業は、出入国在留管理庁への届出が義務づけられています。届出には「定期届出」と「随時届出」の2種類があります。

定期届出(年1回)

2025年4月の省令改正により、従来の四半期ごと(年4回)の提出から年1回に変更されました。対象期間は4月1日〜翌年3月31日で、翌年の4月1日〜5月31日に提出します。

4月〜翌3月
対象期間
受入れ状況・活動状況・支援実施状況を記録
翌年 4/1〜5/31
届出の提出期間
届出書・賃金台帳の写し等を入管へ提出。窓口・郵送・オンラインいずれも可
初回提出
2026年4月1日〜5月31日
新制度初の定期届出。2025年度分(2025年4月〜2026年3月)をまとめて報告

随時届出(都度・14日以内)

雇用契約の変更や終了、支援計画の変更など、特定の事由が発生した場合は14日以内に届出が必要です。

届出が必要な主なケース 提出期限
雇用契約の内容を変更したとき 事由発生から14日以内
雇用契約が終了したとき(退職・解雇) 事由発生から14日以内
支援計画を変更したとき 事由発生から14日以内
登録支援機関との委託契約を変更・終了したとき 事由発生から14日以内
受入れが困難になったとき(倒産・事業縮小等) 事由発生から14日以内
1か月以上の未就労が発生したとき 事由発生から14日以内
⚠ 届出を怠った場合のリスク

届出の不履行には30万円以下の罰金が科される可能性があります。虚偽の届出は1年以下の懲役または20万円以下の罰金の対象です。さらに、今後の特定技能外国人の受入れが認められなくなるリスクもあります。定期届出は年1回に減った分、1回あたりの重要性が増しています。

③ 労務管理の基本ルール

特定技能外国人は「労働者」です。日本の労働関連法令がすべて適用されます。特定技能だからといって特別な例外はありません。

報酬は日本人と同等以上

同じ業務に従事する日本人と同等額以上の報酬を支払うことが必須です。定期届出では、賃金台帳の写しに加えて比較対象となる日本人の賃金台帳も提出が求められるため、実際に確認されます。

社会保険・労働保険への加入

健康保険・厚生年金保険・雇用保険・労災保険への加入は、日本人と同様に義務です。未加入の場合、受入れ企業としての要件を満たさなくなる可能性があります。

在留カードの確認

雇用時に在留カードで在留資格と就労可能な活動を確認することは、外国人雇用全般の基本ルールです。偽造カードに注意し、在留カード番号を記録しましょう。

ハローワークへの届出

外国人の雇入れ・離職時には、ハローワークへの「外国人雇用状況の届出」も必要です。これは入管への届出とは別の義務で、忘れがちなポイントです。

✅ 労務管理チェックリスト

報酬が日本人と同等額以上に設定されているか
社会保険・労働保険に加入させているか
在留カードで在留資格・就労範囲を確認したか
ハローワークへの「外国人雇用状況の届出」を行ったか
労働条件通知書を外国人が理解できる言語で交付したか
残業時間など労働時間管理を適切に行っているか
支援にかかる費用を本人に負担させていないか

初めての企業が気になるQ&A

質問 回答
支援は全部自社でやらないとダメ? いいえ。登録支援機関に全部委託することが可能です。初めての受入れでは委託する企業が多いです
定期面談は対面のみ? 2025年4月よりオンラインでの実施も認められました。ただし初回面談や問題発覚時は対面が推奨されます
届出はオンラインでもできる? はい。出入国在留管理庁の電子届出システムが利用可能です。ただし事前の利用者登録が必要です
届出を出し忘れたらどうなる? 罰金の対象になるほか、今後の受入れが認められなくなるリスクがあります。遅れても提出はすべきです
外国人が退職した場合は? 雇用契約終了の随時届出(14日以内)と、ハローワークへの届出の両方が必要です

まとめ ― 「やることリスト」が見えれば怖くない

受入れ後の義務は多く見えますが、①支援の実施、②入管への届出、③適正な労務管理、の3つに整理すれば全体像は明快です。

初めての企業は、登録支援機関や行政書士など専門家の力を借りながら、一つずつ対応していけば問題ありません。制度をきちんと理解して体制を整えることが、外国人材に長く活躍してもらうための最大のポイントです。

この記事は、J-rect企業向けガイドの第3回(最終回)です。
第1回「特定技能とは?」、第2回「採用の流れ」と合わせて読むことで、制度理解→採用→受入れ後の対応まで一通りカバーできます。

特定技能人材の採用を
はじめてみませんか?

J-rectは特定技能専用の求人掲載プラットフォーム。
制度の確認から求人掲載まで、お気軽にどうぞ。

J-rectで求人を掲載する →